お好み焼の思い出エッセイ募集

オタフクソースでは、「お好み焼の思い出」をテーマに、随時エッセイを募集しています。

いただいた作品の中から、RCCラジオの番組「お好み焼のある風景」にて

柏村武昭さんの朗読で紹介させていただきます。

<採用特典>

採用された方には、朗読CDとオタフクお好み焼セットとプレゼント♪

下記の応募フォームより、作品をご応募ください!あなたのエッセイお待ちしております。

応募フォームnote

2016年6月 2日 (木)

大阪府 さかの様の作品(2016年5月放送)

題名「ちょい足し、ちょい手間の幸福」

うどんに七味、刺身にわさび、コロッケに何かをかけるのも、禁止。

母の料理はすべてが薄味で、料理にさらに味つけすることは許されない。

料理の基本、「さしすせそ」以外の調味料と言えば、

ケチャップ、マヨネーズ、お好みソースの3大巨頭のみ。

それと祖母から送られる手づくりの奈良漬けが、貴重な塩分補給の機会だった。

そんな薄味の英才教育を受けた私が結婚した相手は、生粋の大阪人。

この人、料理にちょっと味を足して、美味しくする天才なのだ。

チャーハンにウスターソースをひとさじ。

チキン南蛮に七味をちょっぴり。

私にとっては革命的毎日。

そんな旦那が並々ならぬ情熱をかけるのがお好み焼き。

「キャベツは細かく切りや。ネギは入れなあかんで。

山芋を入れたらふわふわになんで。削り節に桜えび、天かすは欠かせへん。

ちくわを細かく刻んでダシに入れんねん。」

えーっ、そんなにいれるんだ!

旦那の情熱的な指導のもと、なんとか焼き上がったお好み焼き。

フライパンからお皿に取り出そうとしたその時、

「あっかーーーん!!」

えっ?何が?!

「ソースは焼けた鉄板の上でかける方が、美味しいねんで!!」

鉄板の熱でじゅっと焦げたソースとお好み焼。

口に入れたとたん、鼻から、甘く香ばしい香りが抜けていった。

ホントだ、美味しい!と私が言うと

「せやろ、手間かけるだけで全然違うねんで」と満面の笑みだ。

シンプルに、無駄なものを省いて省いて、育ってきた私と

もうちょっと何かできないか、足して足して、生きてた旦那。

食べることは人生というけれど、

結婚して私は、「ちょい足し、ちょい手間」がもたらす美味しさと、幸せを知った。