2023年10月 4日 (水)

ゲストは、英国バレエ界で22年にわたり

最高位のプリンシパルとして活躍した後、

2020年から新国立劇場バレエ団を率いる舞踊芸術監督に

就任した吉田さん。54歳まで

バレエダンサーとして舞台に立ち続けた体づくりや、

日本と異なる英国でのバレエについて伺いました。

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「Happy Healthy Eating」には、健康的に食べることが体をつくる、

という意味が込められています。

しっかりと栄養を取ることで、バレエを踊るための

タフな体がつくられる、と話されていた吉田さん。

だからこそ、「人と食事を共にする時間が大好き。

友人と食事に出かける時間を大切にしています」とも。

心を満たす食事の時間が、

ハードな日々でも活躍を続けられた吉田さんの体を

支えていたのではないでしょうか。

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東京都出身。9歳でバレエを習い始め、

1983年ローザンヌ国際バレエコンクールで

ローザンヌ賞を受賞、英国ロイヤルバレエスクールに留学。

84年、サドラーズウェルズ・ロイヤルバレエ団

(現バーミンガム・ロイヤルバレエ団)に入団。

88年に最高位であるプリンシパルに昇格。

95年に英国ロイヤルバレエ団へプリンシパルとして移籍、

2010年に退団するまでの22年間、

世界最高峰の舞台に主役として立ち続ける。

20年9月より新国立劇場舞踊芸術監督を務める。

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  ●ダンサーならではの苦労

 「私は筋肉がつきづらい体質だったので、現役時代は

かなり鍛えておかないと筋肉を維持できませんでした。

だから、日常的に鍛える必要なく過ごしてきた人が

うらやましいです」。

体づくりで苦労された経験もありながら、

日々のハードなトレーニングやレッスンから

解放された現在もエクササイズを続けているそう。

姿勢も立ち振る舞いも美しく、

現役時代と変わらない印象ですが「ダンサーとして

体を使うことがなくなると、体重は変わらないのに

筋肉はすっかり脂肪に変わってしまいました」

と意外な言葉が返ってきました。

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  ●バレエに対する日英の違い

日英両国のバレエを知る吉田さんにイギリスと日本の

バレエの習得における違いをお聞きしたところ、

「それぞれに良し悪しはありますが」と前置きしたうえで、

答えてくださいました。

イギリスでは、トレーニング方法など、

年齢に合ったプログラムを組み、時間をかけて順序立てて

説明しながら理論で習得していく。

一方、日本は体が覚え込むまで

何時間もレッスンを繰り返すので、技術的に難しいことでも

怖いとか難しいと思う前に、回転できたり、

飛べるようになっていたりするそうです。

「繰り返し同じレッスンを受け、それを乗り越えてきた

日本のダンサーは心身共にタフな人が多いです。

イギリスでは、自分なりの表現がより重視される

という違いがあります」とも。

異なる背景や環境で、深められた経験や見識を、

若いダンサーたちに伝えられています。

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 ●家族の支え

トウシューズでずっと立っていると足がつらいので、

14、15歳のときからマッサージに通い続け、家でも

ご両親が吉田さんの体を気遣い、

マッサージをしてくださっていたそうです。

「バレエに対する私の気持ちがあまりにも強く、

のめりこんでいたので、それに引っ張られた、

と両親は言っていました」と笑う吉田さんですが、

そんなご両親のサポートがあったからこそ、

バレエに打ち込めたとも。少女時代、

どこよりも安らげる場が家庭だったそうです。

 

お好みソースはロンドンでは贅沢品!?

今でこそ、ロンドンに日本食のお店が増え、

買いに行くことも食べに行くことも

気軽にできるようになりましたが、

吉田さんが留学した1980年代当時は、

日本の食べ物はほとんどなく、寂しい思いをしたそうです。

「今は、ロンドンに和食のお店が増え、お好み焼も

食べられるようになってうれしく思っています。

お好み焼のソースもロンドンで買うことができますが、

今でも贅沢品というイメージが強いです。

だからでしょうか、帰国して本場で食べるお好み焼は

味も雰囲気も格別ですね」と語ってくださいました。

(編集部)

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