ゲストは、英国バレエ界で22年にわたり
最高位のプリンシパルとして活躍した後、
2020年から新国立劇場バレエ団を率いる舞踊芸術監督に
就任した吉田さん。54歳まで
バレエダンサーとして舞台に立ち続けた体づくりや、
日本と異なる英国でのバレエについて伺いました。
「Happy Healthy Eating」には、健康的に食べることが体をつくる、
という意味が込められています。
しっかりと栄養を取ることで、バレエを踊るための
タフな体がつくられる、と話されていた吉田さん。
だからこそ、「人と食事を共にする時間が大好き。
友人と食事に出かける時間を大切にしています」とも。
心を満たす食事の時間が、
ハードな日々でも活躍を続けられた吉田さんの体を
支えていたのではないでしょうか。
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東京都出身。9歳でバレエを習い始め、
1983年ローザンヌ国際バレエコンクールで
ローザンヌ賞を受賞、英国ロイヤルバレエスクールに留学。
84年、サドラーズウェルズ・ロイヤルバレエ団
(現バーミンガム・ロイヤルバレエ団)に入団。
88年に最高位であるプリンシパルに昇格。
95年に英国ロイヤルバレエ団へプリンシパルとして移籍、
2010年に退団するまでの22年間、
世界最高峰の舞台に主役として立ち続ける。
20年9月より新国立劇場舞踊芸術監督を務める。
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●ダンサーならではの苦労
「私は筋肉がつきづらい体質だったので、現役時代は
かなり鍛えておかないと筋肉を維持できませんでした。
だから、日常的に鍛える必要なく過ごしてきた人が
うらやましいです」。
体づくりで苦労された経験もありながら、
日々のハードなトレーニングやレッスンから
解放された現在もエクササイズを続けているそう。
姿勢も立ち振る舞いも美しく、
現役時代と変わらない印象ですが「ダンサーとして
体を使うことがなくなると、体重は変わらないのに
筋肉はすっかり脂肪に変わってしまいました」
と意外な言葉が返ってきました。
●バレエに対する日英の違い
日英両国のバレエを知る吉田さんにイギリスと日本の
バレエの習得における違いをお聞きしたところ、
「それぞれに良し悪しはありますが」と前置きしたうえで、
答えてくださいました。
イギリスでは、トレーニング方法など、
年齢に合ったプログラムを組み、時間をかけて順序立てて
説明しながら理論で習得していく。
一方、日本は体が覚え込むまで
何時間もレッスンを繰り返すので、技術的に難しいことでも
怖いとか難しいと思う前に、回転できたり、
飛べるようになっていたりするそうです。
「繰り返し同じレッスンを受け、それを乗り越えてきた
日本のダンサーは心身共にタフな人が多いです。
イギリスでは、自分なりの表現がより重視される
という違いがあります」とも。
異なる背景や環境で、深められた経験や見識を、
若いダンサーたちに伝えられています。
●家族の支え
トウシューズでずっと立っていると足がつらいので、
14、15歳のときからマッサージに通い続け、家でも
ご両親が吉田さんの体を気遣い、
マッサージをしてくださっていたそうです。
「バレエに対する私の気持ちがあまりにも強く、
のめりこんでいたので、それに引っ張られた、
と両親は言っていました」と笑う吉田さんですが、
そんなご両親のサポートがあったからこそ、
バレエに打ち込めたとも。少女時代、
どこよりも安らげる場が家庭だったそうです。
●お好みソースはロンドンでは贅沢品!?
今でこそ、ロンドンに日本食のお店が増え、
買いに行くことも食べに行くことも
気軽にできるようになりましたが、
吉田さんが留学した1980年代当時は、
日本の食べ物はほとんどなく、寂しい思いをしたそうです。
「今は、ロンドンに和食のお店が増え、お好み焼も
食べられるようになってうれしく思っています。
お好み焼のソースもロンドンで買うことができますが、
今でも贅沢品というイメージが強いです。
だからでしょうか、帰国して本場で食べるお好み焼は
味も雰囲気も格別ですね」と語ってくださいました。
(編集部)