今回のゲストは、字幕翻訳の第一人者であり、
その職業を広く知らしめた戸田奈津子さん。
来日するハリウッドスターの通訳者としてもおなじみで、
海外の監督や俳優たちとの親交を深められています。
40年以上にわたり第一線で活躍してこられたお仕事の様子や、
その秘訣などを伺いました。
色紙を前にしばし一考。「これしかないわね」と
メッセージを一気に書き上げた1枚は、大好きな食と映画を表す、
ストレートで確信を突く言葉。
仕事の時は集中して取り組み、オフにはおいしいものを食べに出かけ、
人生を豊かに楽しんでおられる、戸田さんの率直でオープンな人柄が伝わってきます。
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東京都出身。津田塾大学英文科卒業。
生命保険会社勤務を経てフリーで通訳・翻訳の仕事を開始、清水俊二氏に師事。
1970年『野性の少年』で映画字幕デビュー。
80年『地獄の黙示録』の字幕を担当したことを機に本格的に活動し、
以後、数々の洋画作品に携わる。
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●広島のお好み焼きに興味津々
広島へは仕事で何度か訪れたことがあるという戸田さんですが
「広島名物の本格的なお好み焼きを食べるチャンスがなくて」とのこと。
戸田さんから佐々木会長へ
「広島と大阪のお好み焼きの違いは?」「広島のお好み焼きの特徴は?」
と次々に質問が飛び出し、お好み焼き談議に花が咲きました。
●並々ならぬ総合力と集中力で臨む、字幕翻訳の仕事
7~10日に1本のペースで、
時には数本の翻訳を同時進行で進めることもあるという多忙なスケジュール。
長年やり遂げられてきた秘訣をお尋ねすると
「仕事が立て込んでも、1日にどのくらい仕上げればよいか、
事前にペース配分をして取り組みます。
気分がのってくると、やりきりたいから、思った以上に進むことも」
と教えてくださいました。幅広いジャンルの映画の字幕翻訳に対応する
総合力と集中力に第一人者の力量が伺えます。
●ものにこだわらず、自分で工夫する
「ものに特にこだわりはないです」という戸田さん。
一方で、テープレコーダーや時計など、
字幕翻訳に使う仕事道具も必要な機能が備わっていて快適に使えれば、
メーカーやブランドにこだわりはないそう。
「道具にこだわるより、使いこなせるように
自分であれこれ工夫することを重視しています」と話してくださいました。
●飾らず自然体。凛としてチャーミング
対談時には鮮やかな赤のインナーに黒のパンツスーツ、高いヒールのブーツ
という装いで颯爽と現れた戸田さん。
写真撮影時も試写室になじむ、自然なポーズで、振る舞いが洗練されていました。
明快で飾らない話しぶりと一本筋の通った凛としたたたずまいが印象的でした。
(編集部)
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